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European Respiratory Society (ERS),American Thoracic Society (ATS),European Society of Intensive Care Medicine (ESICM),Society of Critical Care Medicine (SCCM),Société de Réanimation de Langue Francaise (SRLF)の5学会が合同で行った国際会議では,人工呼吸からの離脱のアウトカム/経過を3つに分類した1)。①初回の自発呼吸トライアルspontaneous breathing trial(SBT)で抜管できたものをsimple weaning,②初回のSBT失敗後,3回以内または7日以内に抜管できたものをdifficult weaning,③初回のSBT失敗後,4回以上または7日超抜管できないものをprolonged weaningとした。2011年に報告された23か国,349施設のICUにおける調査2)では,12時間以上の人工呼吸患者2714例のうち,difficult weaningが1058例(39%),prolonged weaningが154例(6%)おり,人工呼吸器離脱困難患者は決して少なくないことがわかる。そのようななか,2006年のThilleら3)は,24時間以上の人工呼吸患者62例のうち約25%に患者-呼吸器非同調が発生し,その非同調は人工呼吸期間の延長に関連すると報告した(非同調25日 vs. 同調7日,p=0.005)。したがって,人工呼吸器の不適切な設定の見直しや,離脱過程を援助する換気モードへの変更を検討することが重要である。
すでに「標準的な人工呼吸器離脱:歴史,方法①:人工呼吸器離脱法の歴史:SBTという概念が生まれた背景」(631ページ)および「②SBTの技術的側面」(639ページ)でみてきたように,1995年のEstebanらの研究を代表とするいくつかの無作為化比較試験(RCT)4~6)により,初回の人工呼吸器離脱の可能性チェックを目的としたSBTの有用性,また,SBTに使用するモードはTピース,持続気道陽圧continuous positive airway pressure(CPAP)(+低レベルのPS)どちらでもよいが,CPAPで十分であることが判明した。本稿では主に初回のSBTで離脱できない約2割の患者4,5)に対する換気モードの優劣について考察する。そこで,まずウィーニングに使用される換気モードの機械的側面,生理学的側面を整理し,さらに臨床研究データからその有用性に関して検証する。
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