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我が国では小児重症患者の多くが,長きにわたり一般小児病棟や成人との混合ICUで管理されてきた。敗血症sepsisについてはなおさら「感染症だから自分で診られる」という小児科医自身の思い込みや,「感染症は入室させられない」「小児は診られない」というICU側の拒絶のため,病棟で小児科医により管理されることが多かったと推察される。
しかし,そのような“重症感染症”の診療では,全身性炎症反応症候群systemic inflammatory response syndrome(SIRS)やsepsis,さらには多臓器不全症候群multiple organ dysfunction syndrome(MODS)という通常の感染症診療とは異なる炎症論的視点が決定的に欠けており,本来は集中治療医が集学的治療の旗振り役を果たすことが望まれる。
巷間では「小児は小さな成人ではない」という言説を頻繁に耳にするが,本稿をお読みいただければ,集中治療領域においては「小児は小さな成人である。ただし,付帯条件を伴う」と考えるのが正しいと了解していただけるであろう。この付帯条件は年齢が低くなるに従って数を増し,管理により強い影響を及ぼす。特に新生児のsepsisでは,肺高血圧と右→左シャントというこの年齢層特有の条件が加わるため,これらは十分に理解しておく必要がある(臨床メモ1)。そのうえで,基本的な診療方針の軸は成人と変わらないことを強調しておきたい。
本稿では志馬による総説1)を理解していることを前提として,小児sepsisの診療における循環管理を中心に詳説した。なお,感染症診断や抗菌薬療法については,別稿*1をご覧いただきたい。
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