特集 AKI
3.病態生理
(3)humoral mediatorからみたAKI―ベンチからベッドへのトランスレーション
安田 日出夫
1
Hideo YASUDA
1
1浜松医科大学 第一内科
pp.471-477
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100220
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急性腎不全は,発症する場所がICUかICU以外の病棟かで,その原因,病態,予後などが大きく異なる。ICUでは,sepsis(敗血症),大手術後などに急性腎不全を発症し,多臓器不全に陥り,急性血液浄化療法の発展にもかかわらず,予後が不良である1)。一方,ICU以外では,腎前性や腎毒性物質などによる急性腎不全が多く,予後は良好である。
急性腎不全の病態生理を解明するための基礎的研究は,これまで主に腎動脈の虚血再灌流モデルやシスプラチンなどの腎毒性物質による急性尿細管壊死をターゲットに行われてきた。これらはICUで遭遇する急性腎不全の病態を必ずしも反映するものではなく,実際,これらの実験データを基にした臨床試験では,急性腎不全の予防や回復促進,予後改善がみられていない。これらの反省から,近年,急性腎不全の疫学を統一した基準でグローバルに把握し問題点を整理することや新たなバイオマーカーを確立すること,さらに動物実験モデルを改良するなどの試みがなされるようになってきた。
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