連載 環境?!・22
転ばぬ先のベンチ
筧 淳夫
1
1国立医療・病院管理研究所 施設計画研究部
pp.781
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902008
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今年に入っても,病院で起きている医療事故について,数多くの記事が本誌も含めた雑誌・新聞に掲載されている。なかでも,薬剤や血液型の間違いなどの事故に並んで,転倒や転落という事故に関する記事が少なくない。
1998(平成10)年の人口動態調査によると,この年に転倒・転落を原因として亡くなられた方は6143名に上っている。このうち何名が,病院や福祉施設において亡くなられたのかは,正確にはわからないが,転倒・転落事故の発生率は,在宅よりも収容施設の方が10倍程度高いという報告もあることから,かなりの人数に上るのではないかと考えられる。一方,通常の2倍近くのマンパワーを投入して回復期のリハビリテーションを行なっている病院での年間の延べ転倒事故件数が,病床数の約7倍との報告もある。こうなってくると,いくら注意を払っても,人員を増やしても,転倒・転落事故はゼロにならないような気にさせられてしまう。
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