Japanese
English
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白癬の感染源について
INFECTION SOURCE OF DERMATOPHYTOSIS
藤 豊
1,2
Yutaka Tô
1,2
1九州大学医学部皮膚科教室
2陸上自衛隊福岡地区病院
1The Department of Dermatology ,Kyushu University, School of Medicine
pp.707-709
発行日 1958年7月1日
Published Date 1958/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202301
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1.緒言
白癬の感染源に関する研究は従来から比較的少いが,白癬病巣中の白癬菌が生体から離れた場合,その生存期間について,Dold1)は頑癬の鱗屑中の白癬菌は20日間生存していたと記載,Farley2)は同じ症例について,その3分の1は5ヵ月以上,最長432日間生きていたことを確認した。Mitchell3)は猩紅色菌が鱗屑中において180〜300日間,趾間菌は300日間生存していたと報告しているまたWeidman4)は趾間菌を有する趾間から採取した鱗屑を試験管内に保存し,8ヵ月間生存していたことを証明,通常鱗屑中の白癬菌は6ヵ月〜1年間は生体外で生存するであろうと推論した。
わが国においても占部5)は鱗屑中の猩紅色菌および禿滑菌は4〜5ヵ月,爪甲中の猩紅色菌は3〜4ヵ月後に死滅したと報告している。このように白癬菌の生体外における生存期間はかなり長いものであるから,白癬菌によつて汚染された靴下スリッパ,肌着,タオルあるいは浴場等による感染,さらにはこれらによる白癬患者自身の再感染が問題となつてくる。
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