特集 Sepsis
4.病態生理各論(1)sepsisと遺伝的素因(sepsis and genetic predisposition)―患者によってショックを起こす,起こさないに遺伝的素因がどの程度関与しているのか?
佐和 貞治
1
Teiji SAWA
1
1京都第一赤十字病院 麻酔科
pp.217-228
発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100187
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2003年3月にヒトゲノムプロジェクトの終了が宣言され,生命科学に支えられた医学,医療の研究も本格的なポストゲノム時代に突入した。ヒトゲノムシークエンス全解析終了という研究成果を背景に,疾患の遺伝的要因をゲノムレベルで明らかにして,オーダーメイド(テーラーメイド)医療につなげるゲノム創薬やゲノム医療を推進する時代を迎えた。ヒトゲノムプロジェクト終了に先行して,日本においても,遺伝子多様性データベースの構築をもとに,疾患感受性遺伝子を同定するミレニアムゲノムプロジェクトがスタートした。疾患関連遺伝子探索の研究は,単一遺伝子疾患における決定因子determination factorの同定,さらには多因子疾患における危険因子risk factorの探索などを含んでいる。
このような時代背景のなかで,集中治療医学の分野においてもいまだに高い死亡率をもって予後不良であるsepsisという症候群に対して,疾患関連遺伝子研究が行われるようになってきた。ゲノムデータベースに蓄えられた遺伝子多型の情報をもとに「sepsisの発症,重症化と遺伝的な素因についての関連性を追究し,予防,予後改善につながる新たな可能性を見いだせないか」という試みである。本稿では,これまでのsepsisに関する疾患関連遺伝子研究の知見を整理し,今後の臨床研究の方向性について考察を加える。
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