今月の主題 アレルギーのトピックス
アレルギーに関する基礎知識
素因と遺伝
山田 昭夫
1
1東大・物療内科
pp.1468-1469
発行日 1975年9月10日
Published Date 1975/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206206
- 有料閲覧
- 文献概要
気管支喘息,花粉症,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎などの,いわゆるアレルギー性疾患は,家族内発症頻度が高く,遺伝的疾患と考えられているが,疾患そのものが遺伝するのではなく,これらのアルレギー性疾患に罹患する可能性,すなわちアトピー素因が遺伝するのである.これに関して,すでに1916年にCookeらは,花粉症,気管支喘息,じんま疹,血管浮腫,食餌性急性胃腸炎などの患者621例について調査し,①患者の家族にこれらの疾患を有する率は正常者に比べ著明に高いこと,②遺伝関係の強いものほど幼少期に発症しやすいこと,③特定の疾患を遺伝するのではなく,異種蛋白に対する反応性が遺伝するのであること,などを報告している1).アトピーの遺伝形式に関しては,家族内発症頻度により,さまざまの形式が推測されたが,報告者によって異なり,明らかにならなかった.しかし最近になってIgEの発見により,その遺伝が研究され,また純系マウスにおける免疫応答遺伝子(Immune response gene-Ir gene)の発見により,この分野の研究は急速に発展してきた.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.