特集 不整脈
5.心室性不整脈の管理
【コラム】リドカインの行方
塩塚 潤二
1
,
讃井 將満
1
Junji SHIOTSUKA
1
,
Masamitsu SANUI
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
pp.824-826
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100125
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リドカインは不活性化状態のナトリウム(Na+)チャネルを遮断する作用を持ち,チャネルとの結合・解離速度が速い特徴がある。これは,Na+ チャネルが閉鎖状態,すなわち拡張期に入るとただちに解離して遮断が解除unblockされた状態となることを意味する。心周期における収縮期と拡張期の割合は,心房筋で1:7,心室筋で2:3と,いずれも拡張期のほうが長い。頻脈時には収縮期・拡張期ともに短縮するが,短縮する割合は拡張期のほうが大きいため,頻脈時には拡張期の短縮時間が長くなる。すなわち,Na+ チャネルの閉鎖時間が短くなるため,Na+ チャネル遮断薬によりブロックされるチャネルの割合が高くなる(図1)。
したがって,単発の心室性期外収縮(PVC)が散発しているときに使用するよりも,持続する心室頻拍(VT)もしくはインセサント型心室頻拍で使用するほうが理論的であるといえる。また,Na+ チャネル遮断からの解離速度は,高カリウム血症や心筋虚血時に遅くなるため,Na+ チャネルの遮断作用は正常心筋よりも虚血などの病的心筋で強く認められる1,2)。
心室性不整脈におけるリドカインの扱いを,以下のA~Dのガイドラインごとに確認することで,今後のリドカインの行方を探る。
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