特集 栄養療法
7.Pharmaconutrition―代表的栄養素のpharmaconutrientとしての作用と適応
深柄 和彦
1
Kazuhiko FUKATSU
1
1東京大学医学部附属病院 手術部
pp.475-485
発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100069
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周術期に特殊な栄養剤を投与するだけで,術後の経過を改善できるという極めて魅力的な栄養療法は,immunonutrition(免疫栄養)という魅力的な名称とともに,その臨床応用が我が国においても急速に広がった。しかし,どの施設でも,どの術式でも,同じようにimmunonutrition製剤(immune-enhancing diet)の効果が得られるというわけではなく,むしろ重症敗血症などの重症患者では予後が悪化することがわかった。そこから「immunonutrition=immune-enhancing dietを利用した栄養管理」ではなく,生体反応を改善する作用を有する栄養療法を打ち立てたいという考えから,近年pharmaconutritionという概念が提唱されるようになった(表1)。
本稿ではまず,immunonutritionからpharmaconutritionへの流れをたどりつつ,それぞれの問題点を明確にし,さらに,pharmaconutrientの代表的栄養素について,臨床応用が期待されるグルタミン,アルギニン,脂肪酸(魚油,γリノレン酸),抗酸化物質について,pharmaconutrientとしての作用と適応を概説する。
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