徹底分析シリーズ 脊髄くも膜下麻酔さいこう
超音波診断装置による穿刺補助—まだ触診だけで穿刺しているの?
松田 祐典
1
Yusuke MAZDA
1
1埼玉医科大学総合医療センター 産科麻酔科
pp.1056-1062
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101203087
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
脊髄くも膜下麻酔(以下,脊麻)は麻酔科医にとって,基本手技の一つである。しかしながら,従来のランドマーク法だけでは,穿刺位置が不正確だったり,予想以上に穿刺に時間がかかったりする。特に,高度肥満や解剖学的異常がある患者では,誤った位置での穿刺や合併症のリスクが高まる。
近年,超音波診断装置の導入が進み,手術室での利用が一般的になってきた。超音波を用いることで事前に脊椎の解剖を把握し,より正確な穿刺位置の特定が可能となる。これにより,より安全かつ効率的な脊麻を実施できるようになるだろう。
本稿では,超音波補助下脊髄くも膜下穿刺の基本手技,初心者が陥りやすい間違いとその回避法,さらに超音波補助を常に使用することの利点について述べる。また,側弯症,高度肥満などの脊髄くも膜下穿刺困難症例に対する応用についても紹介する。これらを通じて,令和の麻酔科医が,より高い精度と安全性をもって脊麻を実施できるようアップデートしてもらいたい。
Copyright © 2024, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.