症例ライブラリー IV-PCA:ピットフォールからのリカバリー
術後の患者が強い吐き気を訴えている
近藤 一郎
1
,
丹羽 聡子
1
Ichiro KONDO
1
,
Satoko NIWA
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
キーワード:
術後悪心・嘔吐
,
PONV
,
制吐薬
,
多角的疼痛管理
,
オピオイドスイッチ
Keyword:
術後悪心・嘔吐
,
PONV
,
制吐薬
,
多角的疼痛管理
,
オピオイドスイッチ
pp.830-833
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101203022
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■症例
16歳の女性。身長155cm,体重40kg。特発性脊椎側弯症に対して後方脊椎固定術を行った。既往歴や手術歴はなく,術前検査でも特記すべきことはなかったが,普段から乗り物酔いがある。アレルギー歴なし。
麻酔はプロポフォール〔目標濃度調節静注(TCI)使用〕,レミフェンタニル,ロクロニウムによる導入維持とし,術中は特に問題なく手術は5時間で終了した。術中にフェンタニルを合計400μg静脈内投与した。手術終了時からフェンタニルの経静脈的患者自己調節鎮痛(IV-PCA)を開始した。麻酔終了後,バイタルサインや疼痛コントロールは良好で,病棟へ帰室した。
術後鎮痛は,フェンタニルIV-PCAとしてフェンタニル2mg(40mL)+生理食塩液60mL(フェンタニル20μg/mL)を1mL/hrで持続投与,ボーラス投与量1mL(ロックアウト時間10分)とした。
翌日,術後回診に行ったところ,「気持ち悪くてしょうがない。看護師に相談したら,この痛み止めが原因だと言われた。痛くてもよいから今すぐにやめてほしい」と患者に言われた。numerical rating scale(NRS)は安静時5,体動時8であった。
さて,あなたならどうする?
Copyright © 2024, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.