症例ライブラリー 周術期の高体温
既往歴のない小児の急激な術中体温上昇
三好 寛二
1
,
堤 保夫
1
Hirotsugu MIYOSHI
1
,
Yasuo TSUTSUMI
1
1広島大学病院 麻酔科
キーワード:
悪性高熱症
,
ダントロレン
,
全身麻酔
,
咬筋強直
Keyword:
悪性高熱症
,
ダントロレン
,
全身麻酔
,
咬筋強直
pp.624-627
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202959
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■症例
9歳の男児。身長130cm,体重28kg。遊具からの転落による上腕骨遠位端骨折に対し,緊急手術が計画された。骨折以外の外傷は指摘されていない。特記すべき既往はなく,アレルギーもなかった。患児および同居家族に全身麻酔を受けた経験はなく,患児の親族には,麻酔中の原因不明の死亡や神経筋疾患の家族歴はなかった。
■麻酔経過
全身麻酔は100%酸素と5%セボフルランによる緩徐導入で行い,フェンタニル50μgとロクロニウム20mgを投与し気管挿管を試みたところ,咬筋が強直し開口が制限されていた。気道確保に難渋したが,ビデオ喉頭鏡を駆使して気管挿管を行った。気管挿管後,適切な換気を行ったが呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)は55mmHgであった。患児の四肢は強直し明らかに熱く,直腸温は38.0℃に上昇していた。心拍数は160bpmで,血圧は125/75mmHg,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)は100%であった。動脈血液ガスを調べたところ,pH 7.21,二酸化炭素分圧(PaCO2)68mmHg,酸素分圧(PaO2)240mmHg,血清カリウム5.5mmol/L,炭酸水素塩24.2mmol/L,base excess(BE)-2.7mmol/Lであった。
さて,あなたならどうする?
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