症例ライブラリー 小児の術中気道トラブル
暖簾に腕押しバッグを押しても換気されず…
渡邊 朝香
1
Asaka WATANABE
1
1静岡県立こども病院 麻酔科
キーワード:
DOPE
,
新生児
,
気管チューブの位置確認
,
腹臥位
,
SGA
,
シミュレーション
,
事故抜管の高リスク症例
Keyword:
DOPE
,
新生児
,
気管チューブの位置確認
,
腹臥位
,
SGA
,
シミュレーション
,
事故抜管の高リスク症例
pp.225-229
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202847
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■症例1
日齢7の男児。在胎37週で出生。身長45cm,体重2600g。総肺静脈還流異常症total anomalous pulmonary venous connection(TAPVC),および肺静脈閉塞pulmonary venous obstruction(PVO)で緊急手術となった。術前に新生児科の医師が気管挿管して,手術室に入室した。経口挿管で,気管チューブの固定は右口角8.5cm,術前の胸部X線像ではチューブの先端が第1胸椎(T1)上端にあることを確認した。
■麻酔経過1
全身麻酔を導入した。肺うっ血により,人工呼吸管理における気道内圧は高圧を要していた。人工心肺開始後,術者から,術後評価のベースラインとして経食道心エコー検査(TEE)をしたいと要望があり,プローブを愛護的に挿入した。人工心肺離脱前にTEEの操作を循環器内科医が行った。人工呼吸を再開すべく,用手換気を行ったが,加圧バッグにはほぼ抵抗が感じられず,カプノグラム波形も出なかった。気管内吸引を行ったが,何も引けず,術野でも,一向に肺は膨らまない。固定されていた気管チューブの深さは変わっていない。
さて,あなたならどうする?
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