徹底分析シリーズ どうする? 小児の困難気道管理—学んでおいてよかった,と思えるために
データベースからひも解く小児の気道管理—多施設臨床研究を臨床・教育・医療安全のツールとして活用する
小嶋 大樹
1
Taiki KOJIMA
1
1あいち小児保健医療総合センター 麻酔科
pp.1114-1119
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202713
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多くの麻酔科医にとって医学文献を読む際に研究デザインと質は気になる問題である。エビデンスピラミッド(コラム1)はそれをわかりやすく示した図として有用だが,観察研究は常にランダム化比較試験(RCT)より劣るという誤解を与えた。近年,観察研究であるリアルワールドデータ(RWD)研究が世界的に増加している。RWD研究は,RCTの弱点である「結果の適応範囲がきわめて限定的なこと」を補い,さらに研究結果に「実臨床の実態」が投影されているという点で優れる。
本稿では,「研究結果の適応度」に焦点を当て,RWD研究の一つであるレジストリー研究の特徴,RCTとの比較を説明する。続いて,最近の麻酔領域における大規模レジストリー研究について紹介する。最後に,日本で2022年から開始した小児麻酔困難気道レジストリーJapan Pediatric Difficult Airway in Anesthesia registry(J-PEDIA)研究の内容と将来的にその研究結果の麻酔臨床への適応可能性についても紹介する。
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