徹底分析シリーズ どうする? 小児の困難気道管理—学んでおいてよかった,と思えるために
巻頭言
小原 崇一郎
1,2
1都立大塚病院 麻酔科
2帝京大学大学院 公衆衛生学研究科
pp.1081
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202707
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- 文献概要
日本の小児医療の集約化は過渡期にあります。例えば,6歳未満の小児外科手術の14.5%は小児外科認定施設や教育関連施設以外で行われていることが,2020年のNational Clinical Database研究から示されています。小児専門施設や大学病院に所属する麻酔科医だけが小児に対応すればよい,というわけではないようです。そして,手術室内外で小児の気道緊急が発生すれば,小児麻酔の経験値によらず,麻酔科医にはプロフェッショナルとして高い技術の提供が求められることになります。
さらに近年の大規模研究から,麻酔科医の小児麻酔の経験値が低いと小児の周術期気道呼吸関連有害事象が増加し得ることが示されています。確かに麻酔科専攻医には6歳未満の小児25例の経験が必須になりましたが,ただでさえ少ない小児の困難気道がその25例に含まれるとは限りません。多くの麻酔科医は臨床経験を積めないままに,小児の困難気道に対応せざるを得ない状況に陥る可能性があります。
小児の困難気道への備えとして,リスク因子や評価法,ガイドライン,気道デバイス,外科的気道確保について理解を深めておくことは,専攻医と指導医の双方にとって無駄ではないと考えます。いざという場面に遭遇したときに,「あれれ,こんなはずじゃなかった」と立ち尽くすのではなく,「学んでおいてよかった」と恐れずに立ち向かう麻酔科医となるよう,みなさんの一助に本特集がなれば幸いです。
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