症例ライブラリー 術中の低血圧
下肢整形外科手術中に生じた低血圧
林 美鈴
1
,
垣花 学
1
Misuzu HAYASHI
1
,
Manabu KAKINOHANA
1
1琉球大学大学院医学研究科 麻酔科学講座
キーワード:
肺塞栓症
,
脂肪塞栓症候群
,
FES
,
ターニケット
,
骨セメント注入症候群
Keyword:
肺塞栓症
,
脂肪塞栓症候群
,
FES
,
ターニケット
,
骨セメント注入症候群
pp.930-933
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202661
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■症例1
63歳の女性。身長153cm,体重80kg。右人工膝関節置換術を受けることになった。既往疾患に高血圧,糖尿病があり内服治療を行っている。術後鎮痛は術野での多剤カクテル注射を行う予定である。プロポフォール,レミフェンタニルで急速導入し,セボフルラン,レミフェンタニルで全身麻酔を維持した。ターニケット加圧し,手術が開始された。45分経過後から血圧が上昇し始め,60分経過後には210/100mmHgになっていた。「今日はターニケット痛が強いな…」。レミフェンタニルの投与量を増やし,フェンタニルを追加投与しても血圧は下がらない。ニカルジピン0.5mg静注したところ血圧は120/75mmHgと落ち着いてきた。やれやれと思っていたところで,術野から「洗浄しまーす。ターニケット解除してー」の声。解除と同時に点滴を全開で投与しながら血圧を再度測定し始めた。血圧は52/28mmHg,心拍数106bpm。フェニレフリン100μgを静注し,麻酔薬流量を再度調整する。洗浄液の色は淡く出血は多くない。2分後に血圧を再測定したが,なかなか測れない。心拍数120bpm,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)80%,呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)18mmHgになっていることに気づいた。
さて,あなたならどうする?
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