徹底分析シリーズ すべての人に適切な医療を—こころの病気がある人に麻酔科医ができること
発達障害者に手術が必要になったとき—そのリアル
柿沼 孝泰
1
Takayasu KAKINUMA
1
1東京医科大学 麻酔科学分野
pp.866-870
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202641
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筆者は大学病院の一麻酔科医であり,障害者医療や精神科医療についてのスペシャリストではない。ただ,医師になる前から,社会における精神疾患患者や身体障害者に対する医療のあり方に疑問をもっていた。麻酔科医になってからも多くの障害者に対する周術期医療を経験し,未解決の課題があることを感じてきた。その一例として本誌vol.29 no.6の症例カンファレンスで「自閉スペクトラム症患者の巨大甲状腺腫瘍」について症例提示した。非常に残念なことであるが,社会のニーズとは裏腹に,われわれ医師の多くが障害者に対する医療者としての教育を受ける機会はなかった。しかし,今からでも遅くない。
本稿では,障害者のなかでも,特に精神・発達障害患者に対して向き合っている医療者や支援者たちの意見を参考に,麻酔科医に求められる周術期医療のあり方について考察したい。
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