徹底分析シリーズ すべての人に適切な医療を—こころの病気がある人に麻酔科医ができること
精神障害・発達障害に対する周術期の治療戦略—よい方法を一緒に考えていきましょう
正木 秀和
1
Hidekazu MASAKI
1
1東京都立松沢病院 精神科
pp.872-875
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202642
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精神科患者が入院を必要とするような重篤な身体疾患に罹患したとき,その身体疾患の治療を,どこで,どのように行うのかがしばしば問題となる。悪性腫瘍をはじめとして手術が必要となる疾患の場合は特に困難が生じる。ほとんどの精神科病院では手術が不可能であるし,一般病院は重い精神疾患の対応が困難であるとして受け入れに消極的なことが多い。一般病院が重い精神疾患を有する患者の手術を受け入れることを躊躇する大きな理由は,精神症状のために治療への協力が得られない可能性があることである。患者が病気があることを否認する,病気があることは認めても手術が必要であることを否認するなどして,手術への同意が得られないことがしばしばある。また,手術を受けたとしても,その後の処置を拒否して術後管理に困難をきたす可能性があることも手術を躊躇する要因となる。
そこで本稿では,精神障害や発達障害,具体的には統合失調症と自閉スペクトラム症の疾患特性について解説し,周術期の治療や対応のポイントについて述べる。
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