徹底分析シリーズ この症例 全身麻酔は可能ですか?—麻酔のリスクをどう評価するか
術前外来での総合的な判断とは—術前診察の実際を交えて
林 浩伸
1
Hironobu HAYASHI
1
1奈良県立医科大学 麻酔科学教室
pp.74-79
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202430
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筆者が麻酔科医として働き始めた20年前は,まだ麻酔科外来という看板が珍しかった時期でもあり,今ほど入念な術前診察は行われていなかった。そのため,手術当日に上級医から準備不足を指摘されて慌てたり,術中に「何かおかしいな」と術前に認識されていない異常に気づいたりした。また,あらかじめICUのベッドを確保していなかったので,重症心不全患者をカテコールアミン持続静注と動脈ラインを留置した状態で,不安を感じながらも一般病棟に帰室させたこともある。過去の危ない橋を渡っていた症例の中には,本来なら延期すべき症例があったのかもしれない。
本稿では,現在の麻酔科術前外来の役割,手術延期すべきかどうか悩む代表的な症例への対応について説明する。
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