徹底分析シリーズ 麻酔における臓器障害への対策 ②—研究から学ぶ臓器保護
巻頭言
松田 直之
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野
pp.751
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202306
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- 文献概要
「麻酔における臓器障害への対策」をテーマとして2回に分けてお届けする徹底分析シリーズの,今回は後編です。前編(6月号)では,サブタイトルに「症例から学ぶ臓器障害と合併症」と銘打って,麻酔が臓器機能に与える影響を考えるうえで「具体的症例」を共有することを目的に,意識障害,ショックと心筋障害,急性肝障害,急性腎障害,筋弛緩薬作用を取り上げました。
後編に当たる今号では,「研究から学ぶ臓器保護」をテーマに,これまでの基礎基盤研究や臨床研究などの成果を掘り下げることで,将来を見据えた臓器保護の考え方を解説していきます。
麻酔科学では,気道確保,輸液路確保,モニタリングなどの麻酔技術のほか,使用する薬物のPK/PD(pharmacokinetics/pharmacodynamics)の理解が大切なのはもちろんです。しかし,その一方で,生理学や病態生理学に対する理解は,われわれの麻酔管理に奥行きをもたせるうえでの基盤をつくってくれます。この後編では,二次性脳損傷からの保護,脊髄保護,肺保護,心筋保護,輸液による臓器保護,という五つの側面から,臓器保護に関する最新の知見に依拠することを考えてみました。
少し難しい内容も含まれていますが,読者が,これらの研究内容を紐解いてみるきっかけとなれば幸いです。
前・後編を通読いただくことで,麻酔管理の深みを共有することを期待します。
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