徹底分析シリーズ 周術期における栄養管理
巻頭言
松田 直之
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野
pp.545
発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101254
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- 文献概要
手術をはじめとする生体侵襲がタンパク質や脂肪を異化させることは,Cuthbertson(Lancet 1942 ; 239 : 433-7)の時代から知られており,痩せの進行が生命予後を悪化させることが知られていた。近年は,周術期の全身性炎症病態が分子レベルで解明されるようになり,急性期の炎症性分子産生のためにアミノ酸や脂質の再構成が不可欠であると理解されている。
このような背景において,これからの麻酔には,吸入麻酔薬のもつ麻酔の4要素を超え,「炎症制御」および「生体異化制御」という新たな側面が期待される。すなわち,周術期の質の高い麻酔管理を求めて現在も拡充し,やがては全身性炎症を麻酔し,生体異化を麻酔するという概念に発展したいものである。
本徹底分析は,周術期の栄養管理として急性期栄養ガイドラインを紹介し,術前・術中・術後の栄養管理を再考することを目的とした。急性期栄養管理の潮流を知るとともに,早期経腸栄養のための麻酔方法,麻酔と栄養管理がどのように関係しているのかなど,皆さん独自で考える機会としていただきたい。この徹底分析シリーズを,楽しんでもらえたら幸いである。
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