徹底分析シリーズ 帝王切開の全身麻酔を紐解く
予定手術で全身麻酔ですが,なにか?—“選択的”帝王切開編
木村 太
1
Futoshi KIMURA
1
1弘前大学医学部附属病院 麻酔科
pp.1104-1108
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202117
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1965年,弘前大学に麻酔科が開講した当時,帝王切開は産科医による脊髄くも膜下麻酔で行われていた。ある日,帝王切開が行われていた部屋から緊急の麻酔科要請があり,高位脊髄くも膜下麻酔となっていた症例に全身麻酔を施行したところ,産科から,今後はすべての帝王切開を全身麻酔でお願いしたいという依頼が麻酔科にあり,全身麻酔下帝王切開の伝統が始まった。
1989年,麻酔科医となった筆者が,当時の松木明知教授に帝王切開を全身麻酔で行う理由について尋ねたところ,「母児の状態が非常に悪い場合は緊急全麻なのだから,普段から素早く安全な全麻ができるように慣れるべし」というお答えであった。
時は移って2013年,廣田和美教授が,母児の絆を大切にすることなどを理由に,帝王切開の標準的な麻酔法を脊髄幹麻酔に変更した。しかし,相変わらず全身麻酔の技術を磨いておいて,自信をもって対処すべき症例も少なくないのである。
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