徹底分析シリーズ 出血治療戦術—適応外の製剤も駆使して止血を図る
適応外使用のために施設として用意しておくべきプロトコル—当院のプロトコルの紹介と現状
田村 哲也
1
,
祖父江 和哉
1
Tetsuya TAMURA
1
,
Kazuya SOBUE
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科 麻酔科学・集中治療医学分野
pp.1188-1193
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201828
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麻酔科医が術中の大量出血に遭遇する場面は少なくない。大量出血で急激な凝固因子の消費による悪循環に陥ってしまった場合,日本の保険診療で認められている輸血用血液製剤のみで止血を得るのは困難である。患者を救うためには,適応外の製剤使用を考慮せざるを得ない現状がある。そのため,筆者らは,緊急時に乾燥人フィブリノゲン(以下,フィブリノゲン製剤)を迅速に使用できるようにプロトコルを作成し,倫理委員会と医療安全委員会の審議・承認を受けて臨床使用している。
本稿では,名古屋市立大学病院(以下,当院)での大量出血時のフィブリノゲン製剤使用に関するプロトコル作成の経緯を紹介する。また,このプロトコルを用いたことによる臨床現場の変化や実際のフィブリノゲン製剤使用状況についても触れる。
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