徹底分析シリーズ 出血治療戦術—適応外の製剤も駆使して止血を図る
出血治療におけるクリオプレシピテートの臨床的意義—大量出血を食い止める“最強兵器”
山本 晃士
1
Koji YAMAMOTO
1
1埼玉医科大学総合医療センター 輸血部
pp.1184-1187
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201827
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クリオプレシピテートは1950年代から主に血友病Aに対する第Ⅷ因子補充療法として世界的に使用されていた製剤である。日本でも以前は血友病治療のために日本赤十字社が製造・供給していたが,1970年代に第Ⅷ因子の血漿分画製剤が登場して以降は製造が中止されており,全国的な供給体制はない。現在は米国やカナダ,英国で,主に外傷,産科出血,心臓血管外科手術の各領域における高度な低フィブリノゲン血症に対して使用されているが,欧州諸国においては,より安全性の高い乾燥人フィブリノゲン(以下,フィブリノゲン製剤)に取って代わられた。現在日本では,輸血部において同種クリオプレシピテートを作製し,臨床現場で使用する医療機関が増えつつある。
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