実習日誌
医療従事者の厳しさを思う
谷 満理子
1,2
1天理衛生検査技師学校
2天理よろづ相談所病院
pp.32
発行日 1974年1月1日
Published Date 1974/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200341
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採血台.赤ん坊の泣き声が響く時,私は,いつも医学の厳しさ,重大さを感じるのです.そして常に自分に厳しくありたいと思うのです.高校を卒業して,実際検査技師はどんな職業であるかも知らずに,ただ"技術を身につけ,そして医学に貢献したい"という目的で,衛生検査技師学校に入学した私.こんな私にとって,学校で学ぶことは,すべて新しいもののように感じ,驚きばかりで,また,初めて学んだものに対する興味をも持ちました."こんな職業もあるのだな"などと今さらながらまるで他人ごとのようにも思ったものです.一定した技術を身につけることさえも努力がいるのに,まして医学に貢献したいなどと甘い考えでいた私,技師として勤まるかどうか,不安で全く自信をなくしていました.
ほんとうに理解もできていないのに,こんなことでいいだろうかと,いつも思いつつ2年の病院実習にはいってしまいました.薄っぺらな知識で,はたして実習ができるかどうか不安な気持ちでいっぱいでした.1年の時の実習は,基礎的なことばかりで,しかもグループで行なうため,自分で実習しているのだという気持ちは少なかったような気がします.しかも,検体はただの検体でしかありませんでした.実際,病院実習を行なって,患者さんと病院内で直接接し,また検査などを見ていると,検体はただの検体ではなく,生きているのだということを,あらためて自分の心の中に焼きつけたしだいです.
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