徹底分析シリーズ 最近の薬物療法—トレンドをざっくりアップデート
巻頭言
櫻井 裕之
1
1杏林大学医学部 薬理学教室
pp.161
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201586
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- 文献概要
一般に大学では,11月から1月にかけて翌年度の講義のシラバスを作成する。その機会に薬理学各論で教えるべき薬物を見直すのだが,ここ数年は,あまり動きのなかった領域で新薬の発売が増えていることを実感することが多い。麻酔科の臨床に携わっている読者も,紹介されてくる患者の服薬内容をみて,「あれっ,この薬なんだっけ!?」ということがあるのではないかと思う。
そこで今回の徹底分析シリーズでは,“トレンドをざっくりアップデート”の副題どおり,新薬の登場が多い領域で実際に投薬を行っている専門家に,それぞれの疾患での新薬の位置づけを,“ざっくり”と語っていただいた。麻酔科領域では親しみのあるケタミンがうつ病患者の治療薬となっていたり,オピオイドの副作用である便秘に多くの選択肢が登場したり,というあたりは,日常臨床にも役立つであろうし,糖尿病,腎不全・透析,てんかん,精神病とさまざまな領域での薬物療法を概観することで,それらの領域のトレンドをつかむこともできる。また,薬剤師目線からの注意すべき薬や,最近話題の高価な薬物の値段がどうして決められているかなど,医学部の教科書ではほとんど触れられないようなアップデートも含まれている。
投薬内容は,処方した医師の,その患者・疾患をどうとらえ,どうしたいかのボトムラインである。それをよりよく理解することで麻酔科医と他科の医師のコミュニケーションが進んでくれれば,企画者としてたいへん喜ばしい。
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