徹底分析シリーズ 薬物の投与経路とその効果
巻頭言
櫻井 裕之
1
1杏林大学医学部 薬理学教室
pp.199
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200511
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- 文献概要
投与経路は薬物の生体への移行をコントロールする過程であり,主な障壁となる上皮細胞層をどのように通過するかが課題となる。薬物には,細胞の通過や受容体との相互作用のため,体液(水)に溶解している必要がある一方,細胞膜の通過のため,特に中枢神経へ作用する薬物では血液脳関門の通過のため,脂溶性をも要求される。しかも単に通過できればいいというのではなく,病態に応じた吸収速度や血中濃度の最適化もなされなければならない。創薬研究者を悩ますところである。また,薬効を発揮する化学物質は同じでも,製剤の改良により,より使いやすい薬物になることもある。同じ薬物でも早く血中濃度を上げたいので,経口でなく静脈投与するということは,読者諸氏も経験されているだろう。本特集を通じ,投与経路による治療効果や副作用の違いについて認識を新たにし,薬物投与に際して“何を投与するか”だけでなく“どのように投与するか”に注目していただければと願う。
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