症例カンファレンス
血液透析中重症AS患者の大腿骨頸部骨折手術
山崎 翔太
1
,
豊田 浩作
1
,
古宮 陽子
2
,
三浦 大介
3
,
坂口 嘉郎
4
,
山藤 雅之
Yoko KOMIYA
2
,
Daisuke MIURA
3
,
Yoshiro SAKAGUCHI
4
1倉敷中央病院 麻酔科
2日本赤十字社広島赤十字・原爆病院 麻酔科
3佐賀県医療センター好生館 麻酔科
4佐賀大学医学部 麻酔・蘇生学
pp.733-748
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201437
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
筆者は,在宅訪問診療に携わっていた時期がある。担当していた訪問先で,さまざまな事情や背景の人々に会った。
脳出血で寝たきりの高齢者を介護する高齢の配偶者。若くして癌を患い,腹水を抜きながらも毎日,自宅兼職場の工務店で働くお父さん。サービス付き高齢者住宅で,たった一人で息を引き取る心不全の身寄りのない資産家。手術で病巣摘出はしたものの,退院してからもただ痛みに耐えつつベッドで過ごす日々の方。筆者自身が数年前に麻酔を担当した患者を,自宅で看取ったこともある。実は,本当に辛いことは急性期を乗り越えた退院後にあるという事例を,在宅訪問診療に携わった短い期間でたくさん勉強させてもらった。
私たち麻酔科医は,こと手術室の中ではどのような危機にも対応し救命する技術と知識がある。また,術後病棟での鎮痛管理もお手のものだろう。しかし,患者の退院後までを考えて麻酔計画を練っているだろうか?
今回の症例カンファレンスは,治療自体の適応や予後までを考慮に入れる必要があるケースを取り上げた。各PLANに共通するキーワードは「家族」である。いち麻酔科医としてだけではなく,患者の家族であると想像して,どのように管理するかも考えてみていただきたい。
Copyright © 2019, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.