臨床実習サブノート スーパーバイザーの視点・論点―患者さんに触れるまで・5
大腿骨頸部骨折
熊丸 めぐみ
1
,
高橋 哲也
2
Megumi Kumamaru
1
1群馬県立心臓血管センターリハビリテーション課
2東京工科大学医療保健学部
pp.697-703
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102040
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ステップ1.理学療法士の役割,理学療法士としての心構え,目標
大腿骨頸部/転子部骨折は骨粗鬆症を基盤として起きることが多く,対象者のほとんどは高齢者だ.そのため,理学療法では臥床に伴う合併症や廃用症候群を防止するために早期離床をはかり,移動能力を再獲得して可能な限り在宅復帰を目指すことになる.評価の際は,骨折による関節可動域制限や筋力低下といった機能障害に目が向きやすいが,高齢者の場合は受傷前から心疾患や脳血管障害,膝疾患,認知症など何らかの併存疾患を有している症例も多く,これらが機能的・生命的予後に大きく影響を及ぼすことから,単に骨折だけの問題ではなく「全身疾患」として捉える必要がある.この患者さんを担当したら,受傷前の生活や転倒に至った経緯,環境ならびに個人因子を把握したうえで,転帰を見据えたオーダーメイドの理学療法を心がけよう.疾患に対する理学療法ではなく,受傷した患者さんを丸ごと評価しての理学療法が提供されなければならない.
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