症例検討 慢性心不全患者の麻酔
巻頭言
張 京浩
1
1東京大学医学部 麻酔学教室
pp.239
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100609
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- 文献概要
従来,心疾患合併患者の麻酔管理については,虚血性心疾患に関する関心が高く,一方,慢性心不全に対する議論は十分ではなかった。慢性心不全は,あらゆる心疾患が最終的に行き着く果ての非代償的状態であり,心不全の発症がしばしば生命予後を規定したので,そのようないわば“悪性疾患”を合併した患者が,心臓以外の他臓器に関連する外科手術の適応になりにくかったことが主要な原因の一つと思われる。
しかし,近年の他の医療・医学の分野の例にもれず,心不全に対する管理や周術期医学の進歩により,少なくとも心不全の既往があることで自動的に外科手術の適応から除外されるということは少なくなった。よって,麻酔科医としても,慢性心不全という病態を顕性,非顕性に持つ患者の周術期管理をどのように考え,行っていくべきか,一つずつエビデンスを蓄積していくことが求められる。その試みとして,本症例検討を企画した。
実際の症例検討においては,やや複雑な条件を設定した。執筆をお願いした臨床の第一線でご活躍の先生方がその条件をクリアしていく過程をたどることで,読者の方々の日々の臨床に資することとなれば大変幸いである。
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