徹底分析シリーズ 周術期管理に必要な抗血小板療法の理解1
巻頭言
張 京浩
1
1東京大学医学部 麻酔学教室
pp.415
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100923
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- 文献概要
抗血小板薬は,麻酔科医にとって大変悩ましいのではないかと思われる。麻酔科医が処方する薬物ではないが,近年その投薬を受けている手術患者が大変増えてきた。そのような患者は,基本的に心血管系のハイリスク患者であり,その薬が患者の長期予後を改善するというエビデンスのもとで投薬を受けているはずである。しかし,抗血小板薬の効果というのは検査所見からもわかりにくいし,どう効いているのか,薬物間の違いはどうなのか(新しい製剤も増えたし,聞き慣れない製剤もある),休薬したらリスクはどう増えるのか,またそもそも日本人で本当に必要なのかという点もなかなか実感としてわかりにくい。加えて脊髄くも膜下麻酔,硬膜外麻酔など,(ハイリスク患者なのに)区域麻酔がしにくく,さらに緊急手術では休薬されていないことや内服を知らなかった(「今日の患者は出血しやすいな」)症例もあるかもしれない。周術期投与のガイドラインも現状では十分とは言い難い。以上の背景を踏まえて本徹底分析を企画した。
上記の疑問にすべて応えることは難しいが,まずは抗血小板療法全体への理解を深めて,日常臨床に生かしていただければ大変幸いである。
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