快人快説
最先端の研究テクノロジー紹介⑥—臓器の透明化技術とその臨床応用
野島 聡
1
,
洲﨑 悦生
2,3,4
,
森井 英一
1
,
上田 泰己
2,3
Satoshi NOJIMA
1
,
SUSAKI, Etsuo A.
2,3,4
,
Eiichi MORII
1
,
UEDA, Hiroki R.
2,3
1大阪大学大学院医学系研究科 医学専攻 病態病理学講座
2東京大学大学院医学系研究科 機能生物学専攻 システムズ薬理学教室
3理化学研究所 生命システム研究センター 合成生物学研究グループ
4科学技術振興機構さきがけ
pp.789-797
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201173
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はじめに
H. G.ウェルズ(1866〜1946)が代表作『透明人間』(1897)で描いたように,肉体を透明にする方法はSFではしばしば用いられるテーマであり,長く人類の関心を集めてきた。組織の透明化は,フィクションの世界に留まらず,生体の内部構造の全体を,切り開くことなく詳細に観察したいという医学・生物学研究者によって着想され,実際に目覚ましい発展を遂げている。
本稿では,組織透明化技術の原理と各手法の特徴について説明するとともに,筆者らの研究グループが2014年に開発した組織透明化/3次元イメージング技術「CUBIC」の有用性について解説する。さらに近年,この「CUBIC」を腫瘍学のin vivo動物実験モデルおよびヒト臨床病理組織検体に応用した内容を交え,臨床診断におけるこれらの技術の将来を展望する。
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