徹底分析シリーズ 術後認知機能障害
術後神経・認知機能異常の予後への影響—予防法,治療法はあるのか?
河野 崇
1
,
横山 正尚
1
Takashi KAWANO
1
,
Masataka YOKOYAMA
1
1高知大学医学部 麻酔科学・集中治療医学講座
pp.62-67
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201034
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日本では急速な高齢化に伴い,高齢者医療に対しても大きなパラダイムシフトが求められている。その最大の目標は,心身ともに自立した健康寿命を延ばし,平均寿命との乖離を縮めることである。また,高齢者自身もその大多数は自立した日常生活の維持・復帰を望んでいる。周術期医療においても,近年の技術的進歩により高齢者に対する手術適応が拡大し,高齢者の手術件数が急激に増加している。実際,手術患者の高齢化速度は,人口の高齢化速度を上回っている。一方,高齢者に対する手術介入が健康寿命の延伸に寄与しているかの議論は現時点では十分とはいえない。超高齢社会のフロントランナーである日本において,高齢者の特徴を踏まえた質の高い高齢者周術期医療を確立し展開していくことは,国内のみならず国際的にも重要な課題といえる。術後神経・認知機能異常は,高齢者に多い術後合併症であり,その発症は健康寿命を縮める原因となる。したがって,質の高い高齢者周術期管理を構築するためにも,適切な術後神経・認知機能異常対策の確立が急務となっている。
本稿では,術後神経・認知機能異常の予後,危険因子と発症機序,および予防・治療法について概説する。
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