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はじめに
1980年代半ばにマスクを用いる非侵襲的陽圧人工呼吸(Noninvasive Positive Pressure Ventilation:NPPV)が登場して,この十数年間のうちに,慢性期・急性期を問わず,呼吸管理全体の枠組みが大きく変貌した.
急性期における治療成績に関しては,慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Dis-ease:COPD)を中心に,多くのrandomized controlled trials(RCT)がなされ,NPPVの役割はより明確なものとなってきており1~8),最近,British Thoracic Society(BTS)により「急性呼吸不全におけるNIV(Noninvasive Ventilation)に関するガイドライン」が発表された9).また,COPDの診断・治療・予防の世界戦略(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease:GOLD)と題されたガイドラインにおいても,COPD急性増悪時におけるNPPVは,血液ガスの改善,入院死亡率の低下,挿管および侵襲的人工呼吸の回避,入院期間の短縮で有効性が認められている(Evidence A)10).BTSのガイドラインやGOLDで示されているように,NPPVはCOPD急性増悪における第一選択の呼吸管理法となった.
一方,長期NPPVの本邦における臨床現場への普及は欧州より約5年間は遅れたが,1998年に在宅人工呼吸療法の一手段として保険収載されたおかげで,その後急速に広まり,2001年末には約1万人が在宅NPPVを受けていると推定されている.
本稿では,NPPVの予後への影響のevidenceとして,長期NPPV患者における生命予後に関して,自験例をまじえながら,肺結核後遺症などの胸郭性拘束性換気障害(Restrictive Thoracic Disease:RTD)とCOPDを中心に解説する.また,生命予後に関連するため,長期NPPV中に急性増悪を生じた場合の呼吸管理に関しても言及する.
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