徹底分析シリーズ 術後認知機能障害
Pros & Cons:本当に認知機能は低下するのか?—「低下しない」とする立場から
内本 一宏
1
,
後藤 隆久
1
Kazuhiro UCHIMOTO
1
,
Takahisa GOTO
1
1横浜市立大学大学院医学研究科 麻酔科学
pp.56-61
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201033
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高齢者では,術後の認知機能低下が遷延しやすいと考えられているが,加齢による認知機能低下と見誤っている可能性が指摘されている。また,全身麻酔手術が軽度認知障害(MCI)や認知症の発症または増悪の引き金となる可能性についても否定的な報告が増えつつある。小児期における未成熟な脳神経の麻酔薬曝露が発達障害をきたす可能性があるとして問題視されているが,単回・短時間の麻酔薬曝露は発達障害と関連しないという報告が相次いでいる。長時間または複数回の麻酔薬曝露によって学習障害(LD)または注意欠如・多動性障害(ADHD)の発症率が増加する可能性があるが,明確な結論は出ていない。中高年者および若年者ではあまり問題視されておらず,臨床研究自体が少ない。
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