症例カンファレンス
慢性血栓塞栓性肺高血圧症合併患者の横行結腸癌手術
加古 英介
1
,
豊田 浩作
2
,
西迫 良
3
,
横山 健
3
,
山本 俊介
4
Kosaku TOYOTA
2
,
Ryo NISHISAKO
3
,
Takeshi YOKOYAMA
3
,
Syunsuke YAMAMOTO
4
1名古屋市立大学大学院医学研究科 麻酔科学・集中治療医学分野
2倉敷中央病院 麻酔科
3手稲渓仁会病院 麻酔科・集中治療室
4大分大学医学部 麻酔科学講座
pp.17-31
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201027
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近年はさまざまなガイドラインが存在しており,治療プロトコールが確立した疾患も増えたが,時にいくつも合併症をもち,管理方法に悩む症例もある。そういった拠り所のないケースこそ,各科の協力を得ながら安全にコントロールしていくことが麻酔科医としての腕の見せどころではある。が,しかし,何が正しいのか確証もないなかで難しい判断を迫られるとき,他施設の麻酔科医ならばどのようなストラテジーで目の前の患者管理にあたるのかを知りたくなる。
今回,3施設との誌上カンファレンスに取り上げた症例は,慢性血栓塞栓性肺高血圧症という血栓性疾患を発症した患者が結腸癌からの慢性的な出血を伴っているというケースで,さらには肺高血圧からくる右心不全を併発しているため,すぐに手術をするにはリスクが高すぎるという状況である。術中の麻酔方法やモニターの種類などにかぎらず,どの疾患に,どのような順番で,どのような治療を行うのか? 考えるべきことは多い。また,各施設における関係各科の治療方針や医療レベルによって選択肢が変わるため,答えも当然一つとは限らない。当施設でも本症例をどうマネージメントしていくか,実際にカンファレンスを行ったが,そこでわれわれが考えた方法は,今回のPLAN 1〜3と同じ部分もあるものの異なる部分も多く,今後の臨床に向けて視野が広がった。読者にも,各施設のストラテジーを参考にして,自分だったらどうするかを考え,難症例に対する今後の治療プログラム構築に役立ててもらいたい。
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