症例検討 予期せぬICU入室 3
巻頭言
安田 信彦
1
1上尾中央総合病院 診療部麻酔科
pp.1181
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201014
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- 文献概要
今回は「予期せぬICU入室」シリーズの第3弾で,このシリーズはこれで一段落となります。内容は,麻酔導入時の誤嚥,局所麻酔薬中毒,術中突然のST上昇後の循環虚脱,hypovolemic shock,抜管後の上気道浮腫です。実際の臨床では,慎重に麻酔を行うことでこれらは未然に防げるでしょうし,発生しても早期対応でICU入室は防げるはずです。しかし,たとえ誌上であってもシミュレーションを行っておけば,今回の各症例のような予期せぬ事態になった場合に慌てないですむでしょう。医療安全の分野では「To err is human.」と言われています。つまり,人間は間違いを犯すものです,どんなに慎重にやっているつもりでも。その点でこのシリーズは,新人にも,中堅どころにも,大ベテランにも,麻酔を見直すためのいい契機になると思います。つまり,自身の常識を本当に常識とすべきか。たとえば,術前経口補水,全身麻酔時の神経ブロック併用,鎮痛法や筋弛緩薬併用による浅めの全身麻酔,患者の希望への応需などを強く推し進め過ぎていないか。
このシリーズが,予期せずにICU入室となった場合の実務的な参考となるだけでなく,多角的に麻酔を見直す契機となることを願います。
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