徹底分析シリーズ デスフルラン1
巻頭言
安田 信彦
1
1学校法人慈恵大学 経営管理研究室
pp.9
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101717
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- 文献概要
デスフルランが,わが国でも臨床使用できるようになって約1年になるが,さまざまな使用経験を集めることにした。共通の印象は,デスフルランの覚醒の質がプロポフォールに劣らず,ほかの揮発性麻酔薬よりも明らかによいことである。懸念された気道刺激性と循環刺激性も,注意点を守りながら適切に対応すれば,安全・円滑に使用できる。ただし,慣れるまでは慎重に使用することを忘れてはならない。
また,乾燥した二酸化炭素吸収剤との反応で一酸化炭素が発生することも,二酸化炭素吸収剤を適正に使用していれば乾燥することなく,容易に防ぐことができる。コストが懸念されているが,デスフルランはもともと低流量麻酔での使用を想定して開発されており,薬剤コストを削減できる低流量麻酔の普及につながるかもしれない。また,デスフルラン(吸入麻酔薬)は,BISモニターを必要としない点でも,コスト削減に寄与することが期待される。
今号と次号の2号にわたって掲載する本徹底分析の最大の特徴は,実経験にもとづく生の声であることである。多くの施設からの報告を集めており,日頃知ることの少ない,他施設の麻酔のあり方を垣間見ることができる。そのため,敢えて大きな編集を加えていないので,読者には内容を十分に咀嚼していただきたい。
すでに使用している方にも,これから使用する方にも,興味を持っていただける,今までにないデスフルランの特集だと思う。
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