徹底分析シリーズ デスフルラン2
巻頭言
安田 信彦
1
1学校法人慈恵大学 経営管理研究室
pp.103
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101738
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- 文献概要
1月号に続き,デスフルランを取り上げ,実際に臨床で使用した方々の経験にもとづく「使い方」を解説する。一見,経験談に過ぎないと思う読者がいても不思議ではない。しかし,執筆者たちは,承認されて間もない薬物の使用にあたって,文献や製薬会社から情報を得て徹底分析を行っている。
それでも,いろいろな使い方や考えがあるものだが,共通点は,前評判よりも早くしっかりとした覚醒が得られることと,気道刺激性や循環刺激性があっても,注意すべき点を守っていれば支障がないことであろう。特に,二酸化炭素吸収剤を乾燥させないことは重要で,定期的な交換を確実に行うとともに,麻酔終了後に酸素や空気の流れを確実に止めるべきである。経済面においては,社会や患者に不必要な医療費負担を負わせないために,低流量麻酔に努めるべきである。元々から吸入麻酔薬のファンは,早期にデスフルランを試してみるであろう。
静脈麻酔薬の持続投与で麻酔を維持する場合,血中レベルを直接把握できないので,BISモニターが必要になる。その点,吸入麻酔薬は,呼気終末濃度から,血中の実際の状況を把握できる。経済性においては,シリンジキット内の使い残しがないことや,呼気終末濃度を監視していれば,BISによる監視を必ずしも必要としないので,デスフルランによる低流量麻酔は無駄が少ないといえる。
デスフルランの覚醒の質は,プロポフォールなどの静脈麻酔薬の覚醒の質に見劣りしないので,デスフルランの国内使用の承認は,吸入麻酔薬のファンでなくとも,吸入麻酔薬を見直す機会になると思う。1月号と合わせて,デスフルランの臨床使用に役に立てば幸いである。
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