徹底分析シリーズ 閉塞性睡眠時無呼吸
OSAの治療—解剖学的因子と神経生理学的因子を踏まえて治療法を決定する
西村 洋一
1,2
,
鈴木 雅明
2
,
田垣内 祐吾
3
Yoichi NISHIMURA
1,2
,
Masaaki SUZUKI
2
,
Yugo TAGAITO
3
1Johns Hopkins Sleep Disorders Center
2帝京大学ちば総合医療センター 耳鼻咽喉科
3帝京大学ちば総合医療センター 麻酔科
pp.1044-1051
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200986
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閉塞性睡眠時無呼吸obstructive sleep apnea(OSA)の病態は,睡眠中における中咽頭軟口蓋後方部分posterior to the soft palate:retropharyngeal spaceと中咽頭舌根部後方部分posterior to the base of tongue:retroglossal spaceの狭窄あるいは閉塞である(図1)。
治療を考えるときは,これが,さまざまな因子により引き起こされているという理解が必要になる。
OSAが解剖学的(機械的)因子anatomical(mechanical)factorだけで発症していると理解すると,80歳の老人の扁桃を摘出するという誤った発想につながってしまう。その場合,患者の症状は改善せず,痛みと合併症だけが残る。一方で,解剖学的因子を考慮せずに,治療法は経鼻的持続気道陽圧呼吸nasal continuous positive airway pressure(nCPAP)療法だけであると理解すると,鼻づまりや扁桃肥大を伴う患者が,毎晩苦闘しながら永久にそれを続けるという事態に陥る。
OSAは単一の因子のみによって引き起こされているのではない。まずはこの事実を理解し,治療を考えるべきである。
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