症例検討 術前シミュレーション
巻頭言
外山 裕章
1
,
山内 正憲
1
1東北大学医学部 麻酔科学・周術期医学分野
pp.879
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200949
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- 文献概要
近年,学習者が模擬的な状況下で経験を積むことにより,実践時に必要な知識・技術・態度を習得するシミュレーション教育が脚光を浴びている。臨床におけるシミュレーションは,以下の目的で行われていることが多い。
①緊急事態などを仮想体験して,対処能力を向上させる
②未体験の処置を事前に修練し,安全性や技術を向上させる
③体験した事象を仮想的に追体験し,技術や能力を洗練する
周術期管理チームにシミュレーションを導入すれば,患者に発生し得る病態を予測し,予測された病態に対する必要な追加検査や対策の準備ができる。そして,たとえ周術期の合併症が生じたとしても適切に対処でき,患者の予後改善に寄与すると考えられる。本症例検討では,周術期管理チームで行うシミュレーションの導入例として,特別な周術期管理が必要と想定される架空の症例を設定した。
術前検査以外に必要な情報を抽出し,シミュレーションの実施,結果についてのチーム内ディスカッション,抽出された問題点への対策を含めた周術期管理計画,を中心に解説する。困難症例の麻酔・周術期管理の安全域を的確に把握し,確実で円滑な管理を行う新たな術前準備の方法を読み取っていただきたい。
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