症例検討 術前シミュレーション
気道管理困難が予想される症例—巨大縦隔腫瘍における麻酔管理の術前シミュレーション
山田 直人
1
Naoto YAMADA
1
1岩手医科大学医学部附属病院 麻酔学講座
pp.880-884
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200950
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症例
15歳の男児。身長145cm,体重40kg。既往疾患は特にない。2週間前から夜間の呼吸苦が出現し,1週間前から仰向けで睡眠ができず,横向きでどうにか寝ている。夜間に救急外来を受診し,胸部CTで巨大縦隔腫瘍が確認された。血圧94/75mmHg,脈拍105bpm,SpO2 95%(room air),呼吸回数38回/min,吸気時喘鳴と仰臥位で呼吸苦(SpO2 90%以下に低下)。起坐呼吸と呼吸補助筋の使用を認めた。嗄声は認めなかった。頭部後屈と開口の制限はなく,Mallampati分類1であった。症状発現から増悪の速度と画像所見,血液検査から,悪性リンパ腫が疑われた。根治的化学療法に先立ち,確定診断のために腫瘍生検が予定された。両親から聴取した患児の性格は,非常に怖がりで痛みに弱く,癇癪を起こしやすいとのこと。主治医から全身麻酔の依頼があった。
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