徹底分析シリーズ 遠隔医療の現在地—現状を知り,われわれの仕事と社会的インパクトを考える
巻頭言
山内 正憲
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1東北大学大学院医学系研究科病態学講座 麻酔科学・周術期医学分野
pp.689
発行日 2021年7月1日
Published Date 2021/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202022
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- 文献概要
さまざまな商品がオンラインで購入できるように,医療もWebでカバーできることは多いはずです。医療現場でもCOVID-19対応も含め,そのニーズ探索が広く行われています。しかし,麻酔科関連の急性期医療は迅速な判断が必要で,侵襲的な技術も多いため,「医療レベルを保てるの?」と一言水をさされるだけで遠隔医療は盛り上がりません。
本徹底分析シリーズでは,現時点での実際を共有し,今後の方向性を考えることにしました。専門性の高い遠隔医療の光と影について,まず背景知識として,対面診察が主なてんかん科からの厚生労働省との折衝や医師法にかかわる解釈も含めた方策,急性期および周術期における展望,をお読みください。次に具体的な場面として,周術期外来,ロボット手術,術後診療,ICUでのそれぞれにおける法規制,ハードの問題点,人材配置や目的意識などへの取り組みを紹介しています。設備次第ですぐにできそうな遠隔医療にも,実際にはハードルがいくつもあるようです。最後に企業側の取り組みや考え方も紹介しています。
遠隔医療は,誰が誰に向かって医療を展開しているかが明確になるので,D to D(Doctor to Doctor)とかD to P with D(Doctor to Patient with Doctor)という普通のあり方を改めて考えるきっかけでもあります。読者が先駆者として切り拓いていく領域であるとお考えいただき,楽しんでください。
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