徹底分析シリーズ 知っておきたいがん治療
巻頭言
橋本 学
1
1国立がん研究センター東病院 麻酔科
pp.31
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202154
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がん専門病院の手術室では,分子標的薬の使用歴をもつ患者が増えているのを肌で感じる。発展してきているがんに対する薬物療法について,われわれ麻酔科医も知らないでは済まされない,しっかり「知っておきたい」状況にある。
麻酔薬と同様,がん薬物療法もこの数十年で目覚ましい発展を遂げている。細胞障害性抗がん薬は,DNA,RNAを標的にしているため,がん細胞だけでなく正常細胞も破壊してしまうのに対し,分子標的薬はがん細胞の特定の分子を標的にすることで,より特異的にがん細胞を抑え込めるようになった。これまで,多くの分子標的薬が開発され,適応も拡大してきた。一方で,特異性が高く副作用が少ないと思われた分子標的薬も,細胞障害性抗がん薬とは異質な副作用を起こすことが次第に明らかになり,周術期に留意すべき点もわかりつつある。
今回の徹底分析シリーズでは,分子標的薬にスポットを当て,術前に休薬が必要な薬として知られるベバシズマブ(アバスチン®),スニチニブ(スーテント®)や,分子標的薬とがん免疫療法の合わせ技ともいえる免疫チェックポイント阻害薬について解説する。さらに,分子標的薬を応用した最新治療の一つである光免疫療法の概要と,実際の麻酔経験にもとづいた注意点を紹介する。
がん治療最前線の専門家によるわかりやすい解説を,ぜひ今後の診療に活かしていただきたい。
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