連載 blockstories 超音波ガイド下末梢神経ブロック 実践49症例 その後
膝関節手術と内転筋管ブロック—それは本当に内転筋管ブロックですか?
森本 康裕
1
1宇部興産中央病院 麻酔科
pp.602-605
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200886
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膝関節手術に対する区域麻酔として,内転筋管ブロックadductor canal blockが注目されている。そこで『超音波ガイド下末梢神経ブロック② 実践25症例』では,ミニ解説3で取り上げるとともに,症例検討として人工膝関節置換術(症例10)と前十字靭帯再建術(症例11)に対する内転筋管ブロックの実践を示した。
しかし内転筋管ブロックについてはまだわからないことが多い。目標とするのは伏在神経のみでよいのか,それとも内転筋管を走行している内側広筋への筋枝や閉鎖神経などのブロックも必要なのか。目標とする神経によってブロックする部位も,最も近位の大腿三角遠位で行う方法,大腿のほぼ中央で行う方法,内転筋管の末梢で行う方法,などさまざまである。近位部で行えばブロック範囲は広くなるだろうが,大量に局所麻酔薬を使用すれば中枢に広がり大腿神経ブロックと変わらなくなる可能性がある。一方,遠位で行えば伏在神経単独でのブロックとなる。
そんな内転筋管ブロックについて,ここ1年でわかったことをまとめ,これらの疑問に答えたい。
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