論述
外傷による母指内転拘縮の治療
田島 達也
1
,
内山 淳
1
,
笹尾 満
1
Tatsuya TAJIMA
1
1新潟大学医学部整形外科学教室
pp.23-32
発行日 1969年1月25日
Published Date 1969/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908466
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はじめに
手部や前腕の開放性または非開放性損傷後,往々みられる後遺障害で,手の著しい機能障害を招くものに,2〜5指M. P.関節の伸展拘縮と母指の内転拘縮がある.これらはともに新鮮損傷時に注意すれば予防できることが多い.しかし,一旦,拘縮が発生すると,その治療はかなり面倒である。ここではそれらのうち母指内転拘縮について,自験例を中心として検討を加えてみたい.
なお母指内転拘縮は外傷を原因とするもののほかに,先天性のものや非外傷性の正中神経麻痺によるものなどもある.しかしこれらは外傷性のものとは病態を異にし,一緒に論ずることは困難である.そのうえ母指内転拘縮のうち外傷を原因とするものの頻度が他の原因によるものよりはるかに高く,実際的意義も大きいので,これに限定して検討してみたい.
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