連載 漢方の歩き方 レーダーチャートで読み解く痛みの治療戦略:第27回
臨床応用編 神経障害性疼痛
矢数 芳英
1,2
1東京医科大学病院 麻酔科
2温知堂 矢数医院
pp.1200-1209
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200737
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矢:今回は,神経障害性疼痛です。
荒:ペインクリニック領域ならではの痛みですね。
福:神経障害性疼痛といえば,僕は54.抑肝散をよく使います。
矢:そうですね。54.抑肝散は,6つの治療戦略(図1)のうちの「ゆるめる」処方です。漢方的には気の滞り(気滞)に対する処方であり,現代医学的にいえば「神経の異常興奮を抑制する」処方ということになるため,神経障害性疼痛に対してある一定の効果が期待できると考えています。光畑先生は1),慢性痛に対して証は特に考慮せず54.抑肝散を投与したところ,約60%の症例に有効であったそうです。私自身も慢性痛の中でも特に,神経障害性疼痛に対する有効例が多い印象があります。
福:ただ,確かによく効くときもありますが,あまり効かないときもあるので,実際のところ難治性の患者さんの治療には苦労します。
矢:それも同感です。そこで今回は54.抑肝散を中心とした応用編のお話です。症例を二つ提示しますが,まず一つ目は以前(2015年1月号)にも紹介した症例です。復習しながら考えていきましょう。
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