薬語図鑑-基礎薬学用語を現場で使える知識に訳してみました 第2部 臨床現場で見聞きする用語編
精神
33 神経障害性疼痛
-抗うつ薬はなぜ効くのか
中村 友喜
1
1三重県立こころの医療センター診療技術部薬剤室 室長
pp.678-679
発行日 2023年3月31日
Published Date 2023/3/31
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2023040091
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神経障害性疼痛とは
神経障害性疼痛は,神経(主に末梢神経)の障害によって生じる疼痛のことであり,「体性感覚系に対する損傷や疾患によって直接的に引き起こされる疼痛」をいいます1).そのため,神経系の損傷または疾患の存在が示される必要があり,これらが確認できない場合には,身体表現性障害や疼痛性障害などの精神疾患を疑うべきとされています2).神経障害性疼痛は帯状疱疹後神経痛や糖尿病性神経障害に伴う疼痛などの末梢性のものと,脳卒中後疼痛や脊髄損傷後疼痛などの中枢性のものがあります.また,慢性腰痛や腰椎椎間板ヘルニアなどのように,外傷や打撲などの侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛の要素を併せもつ疾患もあります(図).2010 年に実施された20 ~ 69 歳の一般市民の男女20,000 名を対象としたインターネット調査では,慢性疼痛患者は全体の26.4%, 神経障害性疼痛の疑いのある患者は6.4% を占め,慢性疼痛患者の4 人に1 人は神経障害性疼痛の疑いがあることが報告されています3).
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