徹底分析シリーズ ビデオ喉頭鏡:現代の気道管理における立ち位置を探る
コラム:ダブルルーメンチューブに使えるビデオ喉頭鏡の開発
中山 禎人
1
Yoshito NAKAYAMA
1
1札幌南三条病院 麻酔科
pp.1146-1147
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200725
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●挿管困難症例へのダブルルーメンチューブ挿管は一大事!
どなたから情報を得たかは存じないが,筆者に本稿の執筆機会を与えていただいたことに感謝したい。まず筆者の麻酔環境を説明する。手術は呼吸器外科に特化し,年間400例近くの分離肺換気が必要な施設に一人きりで15年在勤しており,ほぼ毎日,ダブルルーメンチューブdouble lumen tube(DLT)を挿管する臨床を送っている。かつては,挿管困難症例に遭遇しても援軍は呼べず,代用できる声門上器具など当然なく,さらに気管支ブロッカーは外科医がいやがったため,気管支ファイバースコープを用いて大汗をかきながらDLTを挿管する状態であった。ただこの挿管方法は,特にDLTの場合は,チューブが硬いうえに使用可能な気管支ファイバースコープも細く腰の弱いもののみであるため,チューブを声門に導くのが困難な場面を経験するので,挿管困難時の標準手技とは言い難いと筆者は考える。少しでも安全な挿管の工夫として,トラキライト1)やBullard型喉頭鏡2)を用いてDLTの挿管を試みてきたが,どちらも使用できるDLTの種類に制限があったため,日常的な応用は難しかった。このため,DLTの種類に縛られず,より確実な挿管が可能な器具の登場は,筆者の切実な願いであった。
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