症例検討 麻酔手技に伴う合併症とその対処
術後に両下肢が完全麻痺した—硬膜外カテーテルの先端はどこへ?
山下 幸貴
1
,
恒吉 勇男
1
Koki YAMASHITA
1
,
Isao TSUNEYOSHI
1
1宮崎大学医学部 麻酔生体管理学
pp.132-136
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200497
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症例
68歳の男性。身長163cm,体重56kg。胃癌に対して硬膜外麻酔併用全身麻酔下に幽門側胃切除術が予定された。特記すべき既往はなく,長期にわたって投与された薬物もない。硬膜外カテーテルは,第9/10胸椎間(T9/10)より問題なく挿入され,1%リドカイン3mL投与したところ,臍部を中心に分節性の冷覚低下が得られた。術中は0.3%ロピバカインを4mL/hrで硬膜外腔に持続投与した。手術は問題なく終了し,全身麻酔からの覚醒も良好だった。抜管後,患者に具合を尋ねると,腹部の痛みはないと言う。ただし両下肢にも感覚がなく,動かすこともできない状態だった。
Copyright © 2016, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.